妊娠期乳がんの外科治療について
2021年5月26日
2025年2月18日
妊娠前期もしくは中期に手術を受けた場合、奇形率には影響がないが、流産がしやすくなる報告と、未熟児・出産後の早期死亡が増加するという報告があるため、胎児に与える手術の影響を考慮する必要があります。
妊娠12週未満は、手術中に使う必要な薬物が胎児に与える影響があり控える傾向にあります。
妊娠中期(12週~28週未満)は、安全性が確立しているとされこの時期に必要であれば手術可能と判断します。 胎児への影響もほとんどなく、子宮もあまり大きくないため外科手技の妨げにならなくなります。
また、妊娠末期は、子宮増大による手術への影響、分娩誘発のリスクなどから、出産後まで待てるようながんの状態であれば、手術を遅らせます。
手術の術式では、乳房全切除術が推奨されています。 ただ、手術後20週以内で放射線治療を行うのが可能であれば、妊娠中の乳房部分切除術も選択肢となります。 手術中に腋窩リンパ節転移の有無を確認するセンチネルリンパ節生検は、放射性同位元素を用いた方法(RI法)は胎児被爆量が微量であるので行っても良いとされています。
予後
妊娠期乳癌の予後が悪いのは、妊娠期乳がんが既に進行した乳がんの状態で発見されるためであります。 予後改善のためには、いかに妊娠前の普段から乳がん検診を受けるのが大切かつ大変重要であります。