乳がん手術後の脂肪注入による乳房再建

乳房脂肪注入術の流れ:
①腹部や太ももから脂肪を吸引。   ②採取した脂肪を遠心分離器にかけ、油滴・脂肪細胞・血液成分を含んだ水分に分ける。   ③脂肪細胞のみ少しずつ注射器で筋肉や皮下組織注入し、その後人工乳房(シリコン)を入れます。


乳房脂肪注入の問題点:

 生着率(注入した脂肪細胞が吸収されずにしっかりと乳房内に生き残る率)の問題があります。
 注入した部分の内圧が上昇すると、内部の血管を圧迫し、血流が悪くなります。  血流が悪くなると、注入した脂肪に対して、栄養や酸素の供給が減少します。
そうなれば、注入した脂肪細胞が、壊死に陥り易くなります。  壊死に陥った脂肪細胞は、白血球の一種であるマクロファージによって貪食(食べられる)され、そこから除去されます。  その際には、必ず炎症反応を伴います。
 炎症反応が、慢性的に長期間持続すると、石灰化の原因となるのです。  壊死に陥った脂肪が吸収される過程でしこりや石灰化ができたりするのです。
 乳房の場合は、特にたくさんの脂肪を注入する必要があるため、壊死に陥る脂肪細胞の量も多くなります。
 したがって、炎症反応も慢性的に長期間に及びやすく、石灰化を伴うしこりの発生が起こり易くなります。