男性乳がんについて

男性にも女性と比べかなり少ないですが乳腺が存在します。

 女性のように乳房が膨らんでいるわけではなく非常に薄く痕跡程度ですが、乳頭のすぐ近くの奥に乳腺があるので乳がんは発生します。よって男性乳がんの多くは、乳頭付近に発生します。

男性乳がんは、全体の乳がんの0.6~1%を占めると言われています。

2019年に日本で乳がんと診断された男性は670人で、女性の97,142人のわずか0.7%ほどです。微増傾向ではありますが毎年600人台と罹患数が少ないため認知度が低く、発見が遅れるケースも多くなっています。2020年の男性乳がんによる死亡者数は、129人で100人を超えています。

生涯を通して男性1,000人に対して1人が罹患し、近親者が乳がんならリスクは2倍になります。

 男性乳がんは60~70代に多く、女性乳がんよりも10歳程度高齢であることが特徴です。

女性の乳がん発症にはエストロゲンという女性ホルモンが大きく関わっていますが、男性乳がんの原因はまだ具体的には解明されておらず、様々な原因が指摘されています。

いくつか指摘されている危険因子のひとつは、遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)の原因遺伝子であるBRCA1もしくはBRCA2の変異がある場合です。女性の場合の変異は全乳がんの5-10%前後ですが、男性はその約2倍近くあると言われています。乳がんになった人の中で、女性よりはその遺伝子変異を持った男性が多いということです。

 他の要因は、家族歴です。身内に乳がんの人がいる場合、発症するリスクも高まります。

 ただ、遺伝子の変異が無く、かつ家族歴にも乳がんの人がいない場合でも男性乳がんになる方がいらっしゃるので、それらだけが全ての原因ではありません。   

男性は、自分の乳房に注意を払うことが少なく男性乳がんの認知度も低いことから、進行乳がんで発見されることが多々あります。

一般的な症状は、乳首側のしこりと乳首の陥没です。男性は乳房及び乳腺の組織が薄いため、表面の皮膚や乳頭へ、さらに深部の筋肉への浸潤も女性よりも早く進みやすくなります。がんのステ-ジ(病期)が早くから上がり、リンパ節や骨・肺・肝などへの遠隔転移が起こりやすくなります。

しこりは、痛みを伴わず、硬く、可動性がないのが特徴です。痛みが来た時点では少し進行していると思った方がいいです。乳首の陥没症状は、がん組織が乳首を引っ張ってくるので、凹んでくるのです。それでおかしいと気がつく人もいます。

他に、炎症性乳がんでは乳房の発赤や熱感、腫れがみられ、乳房パジェット病では乳頭や乳輪部の皮膚にただれや湿疹を伴います。 

早期発見のために簡単にできることがあります。男性乳がんは、早く進行しやすいですが、女性に比べて胸は小さいので、より小さなしこりでも触ったら気がつきやすいです。乳がんのしこりは、石や梅干しの種のように硬いのが特徴です。お風呂で石鹸をつけたときに胸を触ってみるなど、月に一回くらい触ってみるのがベストです。  違和感があればすぐに乳腺外科を受診して、痛みや乳首の陥没さらには脇のリンパ節の腫れなどのより進んだ症状が出る前の早期に見つけることができます。

診断や治療方法は、女性乳がんと同様でほとんど変わりません。

検査方法は、女性の乳がんと同じで超音波検査、マンモグラフィー検査、針生検(乳房の腫瘤に針を刺し、組織の一部を取って病理組織学的診断を行う検査)です。

治療も、女性乳がんと同様です。手術による乳房切除、放射線療法、抗がん剤治療、ホルモン療法、分子標的治療が、がんのステ-ジ(病期)による進行度やがんの種類により選択されます。

また、男性乳がんのほとんどが、ホルモン受容体陽性であるため術後にホルモン療法が行われることが多いです。 

ハ-ツ-(HER2)の過剰発現がみられる乳がんの場合には、ハーツ-(HER2)を標的とする分子標的治療(抗HER2療法)を含む治療が行われます。