男性乳がんについて
男性にも女性と比べかなり少ないですが乳腺が存在します。
女性のように乳房が膨らんでいるわけではなく非常に薄く痕跡程度ですが、乳腺があるので乳がんは発生します。 全体の乳がんの0.6~1%を占めると言われています。
男性乳がんは60~70代の男性に多く、女性乳がんよりも10歳程度高齢であることが特徴です。
男性乳がんの多くは、乳頭付近に発生します。
女性の乳がん発症にはエストロゲンという女性ホルモンが大きく関わっていますが、男性乳がんの原因はまだ具体的には解明されておらず、様々な原因が指摘されています。
診断や治療方法は女性乳がんと同様でほとんど変わりません。 男性は、乳房に注意を払うことが少なく男性乳がんの認知度も低いことから、進行乳がんで発見されることが多々あります。
一般的な症状は、乳房の腫瘤と乳頭の陥没です。 男性は乳房及び乳腺の組織が薄いため、表面の皮膚や乳頭へ、さらに深部の筋肉への浸潤も女性よりも早く進みやすくなります。 そのためがんのステ-ジ(病期)が早くから上がりやすいため、リンパ節や骨・肺・肝などへの遠隔転移が起こりやすくなります。
乳がんの主な症状は、乳房の腫瘤で、痛みを伴わず、硬く、可動性がないのが特徴です。 他に、炎症性乳がんでは乳房の発赤や熱感、腫れがみられ、乳房パジェット病では乳頭や乳輪部の皮膚にただれや湿疹を伴います。
検査方法は、女性の乳がんと同様で超音波検査、マンモグラフィー検査、針生検(乳房の腫瘤に針を刺し、組織の一部を取って病理組織学的診断を行う検査)です。
治療は、女性乳がんと同様です。 手術による乳房切除、放射線療法、抗がん剤治療、ホルモン療法、分子標的治療が、がんのステ-ジ(病期)による進行度やがんの種類により選択されます。
また、男性乳がんのほとんどが、ホルモン受容体陽性であるため術後にホルモン療法が行われることが多いです。
ハ-ツ-(HER2)の過剰発現がみられる乳がんの場合には、ハーツ-(HER2)を標的とする分子標的治療(抗HER2療法)を含む治療が行われます。