男性の女性化乳房について

その種類は、乳腺自体が発達したもの(真性女性化乳房)と、肥満により脂肪がついた場合(偽性女性化乳房)、およびその両方がある場合に分かれます。

ここでは真性女性化乳房についてお話をします。

思春期から老年までの男性で、片方もしくは両方の乳房の乳頭・乳輪下に硬結を認めます。  限局性の圧痛を伴う硬結を認めるようなものから真の女性乳房のように柔らかくて大きなものまでいろいろありますが、3cm以内のものが多いです。 男性乳がんとの鑑別が必要な場合は、穿刺吸引細胞診や針生検による組織診を行います。

原因が認められるものとして①クラインフェルタ-症候群、ライフェンスタイン症候群などの遺伝性疾患、②ホルモン製剤(筋肉トレーニングをする際に多いステロイド剤の摂取を含む)、ジギタリス製剤、抗うつ剤、一部の利尿剤・降圧剤・胃潰瘍の薬・前立腺肥大や前立腺癌の薬などの投与による薬剤性、③睾丸腫瘍、副腎皮質腫瘍、下垂体腫瘍などの腫瘍疾患、④甲状腺機能亢進症、肝硬変、慢性肺疾患などによるものなどがあります。  

しかし、多くは原因不明であります。 

原因疾患がある場合は、その治療を行います。 原因が不明の場合は基本的には経過観察となります。 内服治療で軽快はしますが、保険適応外の自費扱いとなります。 

内服の処方例:商品名 ボンゾ-ル錠(一般名 ダナゾール錠)(100mg)2錠分2朝夕(保険適応外)。

成人女性とほぼ同じ大きさのものは、外科的に腫大した乳腺組織を切除します。 乳輪に沿って1/3~1/2周程度皮膚切開をして乳腺組織のみを切除します。 手術をすれば術後は女性化乳房になることはありません。