乳がん遺伝子検査(オンコタイプDX)の保険適用について

 乳がん遺伝子検査(オンコタイプDX)が2023年9月1日から公的医療保険の適用になりました。この検査は、ホルモン療法に加えて抗がん剤治療を追加した方が良いのかどうかを決める際の非常に有益な情報となります。
オンコタイプDXは、アメリカのジェノミックヘルス社が開発した検査で、米国では既に保険適用となっています。
 乳がんがどの程度再発しやすそうなのか、また抗がん剤治療を行うことで、どの程度その再発のリスクを下げることができるかがわかります。
現在、世界中で100万人以上の患者がこの検査の恩恵を受けています。
具体的にはホルモンレセプター陽性、Her-2陰性、リンパ節転移陰性または1-3個までの浸潤癌の乳がんが対象となります。
 再発にかかわる21種類の遺伝子の発現状況を解析し、10年以内に再発するかどうか、その確率を予測します。 検査の結果は、再発スコアとして0~100の数値で点数化され、18未満は低リスク、18以上31未満は中間リスク、31以上は高リスクと分類されます。
再発スコアの結果から、高リスクの乳がんには、再発予防として抗がん剤治療を行い、低リスクの乳がんではホルモン療法のみを行う、といった治療方針の目安にすることができます。現在、中間リスクの乳がんに対して、再発予防のために抗がん剤を用いるべきかどうかを検証する臨床試験がアメリカで進行中です。

遺伝子検査(オンコタイプDX)の流れとしては、

① 手術で採取した乳がん組織を保存する
② 遺伝子検査を受けるかどうかを決める
③ 受ける場合は検査会社へ検体を送る
④ 3~4週間で検査結果の報告を受ける
⑤ 結果に基づいて術後の薬物治療を検討する

 検査の価格は、435,000円で自費診療と同じ程度の価格です。健康保険3割負担の方であれば13万500円と高額ではありますが(所得によっては自己負担に上限を設ける高額療養費制度が適用されます)、抗がん剤治療をするかどうかの選択に役だてることができます。抗がん剤治療をするかどうかは大きな問題で、医師だけでなく患者にとっても大変価値ある情報となります。