妊娠期乳がんの特徴について

妊娠期乳がんは稀で欧米のデータ-では3000妊婦に1人とされていますが、少しずつ増加傾向にあります。 妊娠中に乳癌と診断される頻度は0.03%とされています。 今後、高齢出産および乳がん罹患率の上昇に伴い増加することが推測されます。 その理由として、女性の晩婚化、女性の社会進出、生殖補助医療の発展などから30才を超えた年齢で妊娠・出産される女性が増えてきていることが挙げられています。

妊娠期乳癌が予後不良であるのは、進行癌として見つかることが多いためです。

臨床病期を通常乳がんに合わせて比較した場合には、非妊娠期乳がんと予後はほぼ同じであるとされていますが、妊娠自体が予後不良因子となるという報告も中にはあります。 

妊娠期には、乳房にしこりを自覚しても妊娠症状として認識されてしまうため結果的に乳がんの診断が遅れたりします。 また、大きく緊満した乳房のために発見が遅れ、進行していることが多いために、治癒しにくい特徴があります。

非妊娠例と比較し進行例で発見されることが多いために、腫瘍径が大きく、リンパ節転移の個数も多くなります。 10年生存率は58~70%といわれ、予後は不良であります。 

治療は外科的治療が中心となり、化学療法は胎児への影響を考慮する必要があります。

一方、妊娠の中絶は、乳がん予後の改善に寄与しないとされています。 そのため、予後改善を目的とした中絶は勧められないが、抗がん剤治療や放射線療法が必要な場合で、胎児に障害が出ることがあらかじめ予測されるのであれば、中絶を考慮する必要が出てきます。 

予後

妊娠期乳癌の予後が悪いのは、妊娠期乳がんが既に進行した乳がんの状態で発見されるためであります。 予後改善のためには、いかに妊娠前の普段から乳がん検診を受けるのが大切かつ大変重要であります。