普段から気を付けたいこと
予防が困難な乳がん
だからこそ早期発見が大切
EARLY DETECT
- 最近の日本での乳がん罹患数(新たに乳がんと診断される数)は、年々増えており、ここ30年あまりで5倍に増加して、1年間に女性がかかる全てのがんの中で1位となって約90000人となっています。毎年約15000人以上の方が、乳がんで亡くなっています。
しかも、生涯のうちに乳がんにかかる人は1996年には30人に1人と言われていましたが、 最新のデータでは9人に1人となって更に増えています。 - 当院では、乳がんの再発防止のために早期発見・早期治療を目指して努力しています。 マンモグラフィーや乳腺エコーなどの検査からがんの状態を見つけ出し、健康寿命を考えたサポートを行っています。
- 一方、乳がんによる死亡は、増加は比較的緩やかで4~5人に1人と低く抑えられています。
これは、①検診による早期発見、②効果的な新薬の使用、③乳がんのタイプ別治療法の確立などで予後が改善されたことが考えられます。 - 乳がんの年齢分布は、20代後半から徐々に増え始め、閉経前後の45~49歳でピークとなっています。
- 食事をはじめとした欧米化された現代人のライフスタイルが大きな原因として考えられるため、予防することが難しく、患者の数は今後さらに増加すると予想されています。
- ただ幸いなことに、乳がんはからだの表面近くにできるため、比較的自分で発見しやすいがんです。
早い段階で乳がんを発見することができれば、乳房を失うことなく、小さな手術で治療することも可能となっています。
乳がんはすべての女性がかかる危険性のある病気
DANGEROUS DISEASES
予防が難しいといわれる乳がんですが、乳がんにかかりやすい条件を知っていれば万一の時に見落としてしまうこともなく早期発見に繋がります。
乳がんにかかりやすい条件
- 親姉妹などの近親者に乳がんにかかった人がいる
- 出産経験がない、あるいは30歳前に出産を経験していない
- 初潮が早く、閉経が遅い人
- 肥満の人(特に閉経後)
- 良性の乳腺疾患になったことがある
- 授乳期間が短い
- 肉食に偏った食生活
- これらにあてはまる人は、そうでない人に比べて少しだけ乳がんになる可能性が高いというだけのこと。 みなさんに忘れずにいただきたいのは女性であれば、誰でも乳がんにかかる危険はあるということです。
- 常日頃から自分の乳房を観察し、乳房に起こりつつある変化を、見落とさないように、気をつけてください。
乳がんと女性ホルモンの関係
乳がんの発生や増殖には、「エストロゲン」と呼ばれる女性ホルモンが深く関わっています。
乳がんが増加している背景には、女性の社会進出に伴う晩婚化などで乳腺がエストロゲンにさらされている時間が長くなったことが要因として考えられています。
また、閉経後は、エストロゲンが脂肪細胞で作られるため、閉経後に肥満している女性では、乳がんのリスクが高くなるとも言われています。
SELF CHECKしこりチェックによる乳がんの発見
乳がんを早期発見するために、その特徴をよく理解しておくことが大切です。
月に1度、乳房の自己検診をして、乳がんに特徴的な変化がないかチェックする習慣をつけましょう。月に1度の習慣にしたい、乳房の自己チェック。
日ごろから自分で「見て」「触って」、いつもの乳房の状態を知っておけば、小さな変化もすぐに発見することができます。
自己検診のベストタイミング
閉経前なら月経が始まって1週間後を目安に。閉経後なら月に1度、覚えやすい日を決めて。
乳房を見てチェック!
鏡の前でいろいろな姿勢をとって、乳房の変化を確かめます。
- 腕を上下に動かす
- 頭の後ろで手を組む
- 手を腰に当てて上体をかがませる
- など
乳房に触れてチェック!
調べる乳房側の腕を上げ、もう一方の手で乳頭周辺から円を描くようにして、指の腹でゆっくり調べます。
- 入浴時、手に石鹸をつけて触れる
- 布団の上で仰向けに寝て行う
- など
チェックポイント
乳房のしこりはないか
乳がんが大きくなって1~2センチくらいの大きさになると、自分で触れてわかるしこりになります。乳がんのしこりには、次のような特徴があります。
- ごつごつしていて動きが悪い
- 短期間に大きくなる
- 痛みがない
乳房のへこみなど皮膚表面の変化はないか
乳がんか乳房の皮膚近くまで達すると、えくぼのような「くぼみ」や「ひきつれ」、乳頭の陥没などが見られることもあります。
乳頭からの分泌物はないか
乳がんの場合、血液が混ざった分泌物が多く見られますが、血液が混ざっていても透明に見えることがあります。
腋窩のしこりはないか
まれですが、わきの下のリンパ節がはれて見つかる乳がんもあります。
乳首のただれはないか皮膚科で治療を受けてもなかなか治らないときは、一度乳がんの専門医に診てもらうことが大切です。
FOUND LUMPもしも「しこり」が見つかったら
- 乳がんと決めつけてしまう前に、専門医にご相談ください!
まずは落ち着いてください。必ずしも「しこり=乳がん」というわけではありません! - しこりが乳がんによるものか、その他の病気によるものかを見分けるためには、専門的な検査が必要です。
乳房にしこりを発見したら、必ず専門医の診察を受けるようにしましょう。
乳房の病気のなかでも、しこりができる病気には次のようなものがあります。